Sep 18, 2010

陪審制度

陪審制度により、素人が人を裁く、人の命を裁くことの難しさを問いた有名な作品が、『Twelve Angry Men』です。

父親を殺した殺人罪に問われている少年は、目撃者の証言などから一見、揺るぎのない有罪として、12人の陪審員中の11人は判断。さっさと陪審義務を終え、家に帰ってゆっくりしたいと思う陪審員たち。
しかし、陪審員の1人は、この少年の育った経過を考えれば、彼が本当に有罪なのか、もし、有罪なら、情状酌量の余地が大きく残されていないのかと、対する11人に問いかけます。
自分だけが他の陪審員と異なる見解を持っていた場合に、その場のプレッシャーから自分の見解を曲げて、他と便乗してその場を丸く収めてしまったとしたら、無実である可能性を持つ被告を死刑台に送ることになる。
さっさと家に帰りたいのは山々であっても、自分の与えられた任務に対し、どこまで誠実に取り組めるか、自分たちの判断が、事件に巻き込まれた人々の人生を大きく変えてしまうという責任の重さを認識し、見ず知らずの人間が集まる陪審制度で、どこまで皆が公平に話し合いをすることができるか。
そして、裁判において証拠として提出されたものだけを材料に判断しなければならないが、それら提出された証拠は判決を下すのに本当に十分であるのか、証拠提示方法に疑問の余地はないのか、証拠そのものに疑問の余地はないのか。提出された捜査方法に疑問の余地はないのか。
現裁判とは関係のない個人的な見解や、思想、差別意識が曇らせる判断力。
陪審制度により人を裁くことの難しさ、責任について描かれた優れた作品です。

By L.A. Theatre Works: Twelve Angry Men (Part 1, Part 2)
Download : MP3 Audio (Part 1, Part 2)

同名の映画もあります。

Posted by M. Dolan